5月3日(月) / pm 4:45






今日は一日中滝と家で過ごした。
天気は良かったけど、なんたってゴールデンウィーク中。
わざわざ人ゴミの中に行く気にはなれなくて、二人で洗濯もの干したり御飯作ったり滝にクッキー焼いてもらったり(激ウマ!)した。
それに、映画みたり服見たりするより、俺は断然滝見てたほうが楽しいCー。



「え?うん…うん…あはは」



でもそれはさ、相手もこっち見ててくれなきゃ意味ないわけで。
じっと見つめあうとかそういうんじゃなくて、意識の問題?そーゆうの。


滝を見ているのは好きだけど、授業中とかはよく一方的に見つめてたりするんだけど。
さすがに、好きな子が俺以外のやつと楽しそうに電話してるのって、見たくないじゃん?


俺が切ったせいで、昨日の朝からずっと二人とも携帯の電源がオフになっていたことを夕方になった頃初めて思い出した。
誰にも邪魔されなくてEーのになーって思ったけど、何か連絡があるといけないからって滝が電源を入れた途端、着メロが鳴ったんだ。
さっそく邪魔されてしまったよ。
って、面白くないのが顔に出てたのか、滝がちらっと俺をみて、ごめんねって言って通話ボタンをピッとおした。
俺も、いーよって笑ってみせたりしたんだけど。



「でも、うん…へーそうなんだ」



基本的に滝は長電話。
滝は聞き上手だから、相手が話しやすくてしょうがないんだと思う。俺だってそうだよ。
でも、壁にかかってる時計をみると、あれから意外と時間はたってなかった。
今までが嘘みたいに、何だかすごく時間がたつのが遅い気がする。



「で、どうなったの岳人?うん…うっそ!ホント?」



(…岳人のことなんかいいからさ)



滝、たき。たき。
ジローってよんでよ。
俺のことかまってよ。



後ろから聞こえてくる楽しそうな会話ばっかりがこの家を占領してて、仲間はずれみたいで寂しいよ。
今だれといるかわかってるの滝。


でも。



(でも、岳人なんかにメール送った俺が悪いんだけどさ〜!)



そう思うから、俺は大人しくひとりでテレビに向かってるわけです。
滝に背を向ける格好で。今きっと俺の顔酷いと思うから、見られたくないし。
でも滝の顔は見たい、けど…。



(つまんない…)



そっとため息をつく。
こういうときに限って眠くならない。
一応見てるふりをしてるテレビも超つまんなくて、ただ目にうつしてるだけになってた。
相変わらず滝は岳人と楽しく電話中。
こんな時間は一日の中でもほんの一瞬のはずなのに、滝がとられるのはやっぱり嫌だよ。


だから、ちらっとだけ、ちょっとだけって、俺は首をそっとまわして後ろをのぞき見た。
友達との電話にまで嫉妬するちっちゃな男だなんて、滝には絶対思われたくないから。
背は低くとも芥川ジローはでっかい男の子なのですよ。


だがしかし、思いがけず目が合ってしまい、一瞬俺は固まった。
ちっせーな俺!


慌てて前に向き直り、何ごとも無かった用にテレビに集中する(フリをした)。
そして、しばらく経った後やっと電話が終わったみたいで、部屋にはテレビでやってるニュースの声だけが聞こえてくるだけに。



(やった!)



もうこの際大きいとか小さいとかどうでもいいし。
俺は嬉しさを隠そうともせず、うずうずしてた身体ごと勢い良く後ろを振り返った。
そしたらもう間近に滝がいて、びっくりした顔が超近くにあって。
そんなのがたまんなくて、タックルするように俺は滝にぎゅっと抱き着いた。



「たきたきっ!!俺ひとりで超暇だったんだけど!」
「ごめんねジロー。寂しかった?」



綺麗で透き通ってる声が好き。
そんな声で囁かれて、ふわっと抱き返されて、なんだかもうそれだけで満足する。
寂しいって、ちゃんと滝はわかっててくれたんだ。
俺の事考えててくれた。
だからもう何でもいいや。


俺じゃまだ、滝の大きさには適わないみたい。
そんな甘えて擦り寄る俺を、滝は優しく笑いながらずっとずっと撫でていてくれた。


その後滝から、「明日岳人たち遊びに来るって」と聞かされ、幸せ気分が急降下したのは言うまでもない。
あからさまに嫌だと顔にでたとしても、これはしょうがないっしょ。
俺悪くないよ、きっと!