週末は危険なお誘いがいっぱい。




甘え曜日。




「楊ぜん、今日は合コンに行ってくるぞ」
「絶対ダメです」


ほら今日もまた、こんなに完璧な彼氏がいるっていうのに狼たちに誘われて帰ってきた。
僕の可愛い彼氏。
夕食のカレーに使うたまねぎを千切りにしながら、僕は当然とばかりにその申し出を却下する。
そしていつものように師叔は頬を膨らませた。


「いつもダメダメって、わしだってたまには遊びたい!」
「だからって合コンなんて・・・前後不覚になるまで飲まされてどこかに連れ込まれでもしたらどうするんです?それに僕という恋人がいながらそんなとこに行くなんて浮気です!」
「そ、そんな涙目になって言わんでも・・・;」
「たまねぎが目にしみたんです!」


顔だけ後ろむいていたのをそこで身体ごと向き直り、シンクに軽く寄りかかる。
エプロンの裾で涙を拭いてくれる師叔に感激しながらもそんなことじゃ僕は騙されない。
細い腰を軽く引き寄せて囁いた。


「お互い忙しくてゆっくりできないんですから・・・週末ぐらい一緒にいてください。僕を1人にしないで師叔・・・」
「お、大げさだのうお主・・・」
「合コンなんか行ったら泣きますよ?」
「・・・・・ダアホ」


ぎゅっと抱き締めてくれる細い腕。
弱っている僕には師叔は途端に甘くなるのだ。
ここで畳み掛けるべきだと、甘い言葉の一つでも・・・と思った矢先に腕の中の身体が離れていってしまう。
そしてぱっと上げた師叔の顔は驚くくらい笑顔だった。


「なんでもわしの言う事聞いてくれるというなら行かないでやらんこともないぞ?」

「・・・・・・・」




あ、しまった。
またいつものパターンに凝りもせずハマってしまった自分に今度は本気で涙した。
















「まずは美味しい料理であろう〜?デザートは桃で、お菓子も欲しいのう。あとは肩揉んでもらって〜、あ!テレビは勿論わしの見たいのだからな。あと・・・」
「はいはいはい・・・・まったく本当は合コンなんて行く気ないくせに・・(ブツブツ)」
「なんか言ったか?」
「いえ別に。で、あとは何ですか?」
「・・・あー・・あとはのう、その・・・・明日は休みじゃし、今夜は、え〜・・・」
「え?」


僕が、彼の週末の行動の意味を知るのはこれから約1秒後のことでした。



 

楊ぜんに彼氏と言わせたかっただけです。