ペチャパイの続編的なお話です。
本編は企画のほうからどうぞ。






いつまでたっても小さな胸。
やっぱり悩みは尽きないわけで。

 

ペチャパイ〜番外編〜
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「でねー玉ったら酷いんだよ〜・・・・・って聞いてる望ちゃん?」
「えっ!う、うむ。ちゃんと聞いておるよ」

ぼーっと話を聞いていたところでふいに問いかけられ、呂望は慌てて返事をした。
ホントは聞いていなかったのだが相手は特に気にしていないようで、こっそり溜め息をつく。

今日は日曜。
相談があるからうちにきて、と言われちょっとならと誘いに応じた。
午前中は暇だからいいのだけど呂望には午後から約束があった。

「昨日だってデートだったのに玉ってばさー・・・」

何の相談かと思えばただの愚痴、というか惚気話。
玉とは普賢の恋人でうちの学校の先生でもある。
両手で頬杖をついて溜め息をつながら話す親友に、最初は親身になって聞いていたけどだんだんその惚気話に飽きてきた。
聞き上手な呂望も、流石に曖昧に相づちをうつだけになって。
けれど普賢がこういう話を自分にしてくれるようになったことがちょっと嬉しい。
恋に疎い呂望に気遣って今までそう言う話はあまり会話の中にださなかったのだ。
でも今は呂望にも恋人がいる。

学校中で有名な彼。
頭も性格もよく、なんといってもその容姿は極上。
そんな目立つ男が恋人だから当然秘密の恋だけど。
それでも呂望は満足だった。

自分には殊更甘く、いつでも優しくて大切にしてくれる。
彼の甘い声は、思い出すだけで呂望の頬を桃色に染めた。
午後からはデートの約束をしているから、その声ももうすぐ聞けると思うと・・・

「ちょっと望ちゃん〜?聞いてる〜?」
「えっ」

ひらひらと目の前で手を振られハッ顔を上げる。
もうーっと口を尖らせる普賢に謝り話の続きを聞こうとしたけれど。
妙ににやにやしているから、何?と言おうとしたけど逆に問いかけられてしまった。

「楊ぜん君のこと考えてたでしょ?」
「な・・・!べ、別に考えておらぬ」
「うそばっかり♪僕は望ちゃんのことならなんだってわかちゃうんだからね」
「むぅ・・・・」

図星なだけに何も言えない。
顔を赤くしている呂望に、普賢は可愛い〜なんて言いながらからかうように頭を撫でようとする。
身を乗り出すようにしたその体勢は胸元が少し開くかたちになって、呂望はぱっと目をそらした。

昔から自分の胸にコンプレックスがあった呂望だが、それは楊ぜんが解決してくれた。
小さくてもいい、と。
すごく嬉しかったし、安心したけれど・・・・やっぱり自分では人と比べてしまうのだ。
呂望だって女の子。仕方がない。
普賢は黙りこくってしまった呂望を不思議に思ったが、イイコトを思いついてぱっと目を輝かせる。

「ね、望ちゃん。今度は僕が話聞くよ」
「話と言われてものぅ・・・・何を話せばよい?」
「楊ぜん君とどこまでいった、だとかさぁ?」
「どっ・・!?」

さらりと言ってのけた言葉に呂望は思わず飲んでいた紅茶を噴き出しそうになった。
普賢をみるとニコニコと微笑んで、で?なんて聞いてくる。
呂望がこういう話題が苦手なのを知っていて面白がっているのか、ただの好奇心か。
多分後者だろうなと思うが、それはそれでたちが悪い。
しかし呂望だって一応女の子。
友達とこういう話しで盛り上がるのは結構嫌じゃなかったりする。

「キスくらいはしたでしょうやっぱり」
「ん・・・ま、まぁ」
「どうだったどうだったっ?ファーストキッスは?」
「どうって〜・・・・」

う〜と唸りながらその時の事を思い出し、ちょっと頬を染める。
近くにあったハートのクッションを抱き締めてそれに顔を埋めるようにポツッと呟く。

「最初はの・・・おでこにされて、それから目とほっぺにされて・・・」
「されて?」
「さ、されて・・・口にもちゅって・・・・で・・・すぐに・・し、舌が入ってきて・・」
「はぁ〜・・・初めてなのに流石楊ぜん君・・・・それで、どうだったの?気持ちよかった?」
「・・・・・秘密じゃ」
「え〜!望ちゃんズルイー!!」

やっぱり肝心なところは教えるのがもったいないから。
なんとかその感想を聞き出そうと普賢は呂望を掴まえ、床に倒れ込む。
きゃーきゃーとしばらく戯れた後、質問は次の段階へ進んでいった。

「で、えっちはしたの?」

相変わらず楽しそうに笑っている普賢に対し、それまで笑顔だった呂望の表情が一瞬で曇っていった。
すぐに臥せてしまったがその泣きだしそうな顔に、普賢は心配して呂望を覗き込む。

「どうしたの望ちゃん・・・?」
「・・・・お主はその・・・・し、した・・のか?」
「玉と?そりゃ1年も付き合ってればそれなりに・・・」
「・・・・・・」
「もしかして・・・・まだ?」

こくっと頷く。
普賢は顔や声にはださないが、相当驚いているようだった。
呂望と楊ぜんが付き合い始めてもうすぐ1年。
かなり遊んでいたと一部で噂の彼だから、手は早いと思っていたけれど本命には弱いらしい。
しかしそんな事を抜きにしたって、よくこんな可愛い彼女といて押し倒さなかったなぁと普賢は感心する。
何も言わない普賢に、やっぱり1年も付き合っててまだなんて変なんだ・・・とだんだん焦ってくる呂望。
でも自分が悪いのだ。
きっと自分の身体が・・・。

「のう普賢!やっぱり女はないよりあるほうが良いのであろうか!?」
「・・は、はぁ?」

唐突にぐいっと眼前に迫ってきた顔。
普賢は慌てて一歩退くが、更に一歩詰められる。
そんな戸惑っている親友を余所に、呂望は今まで秘めていた悩みを思い切って話し出した。

彼女の悩み。

それは自分達が・・・『まだ』であること、きっとそれは自分のせいだ、という事なのであった。

 

 

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つづく(えー)
楊太のくせに楊ぜんがいなくてごめんなさい。