ハンド・パワー
「師叔、なんだかイライラしてます?」 「べつに」 「どうしたんですか?」 「・・・べつに」 ずっとべつに、の繰り返しのわしに、楊ぜんは肩をすくめて溜め息をつく。 ホントにべつに。意味なんてないのだ。 ちょっと朝起きるとき、目覚めが良くなかったとか。 でも時間が経つにつれ、その小さな理由も忘れてしまった。
「機嫌直して?」 ぽんっ。 よしよし。 何かが自分の頭に乗ったかと思うと、小さな子供にするように優しく撫でられた。 楊ぜんを見れば、いつまでも拗ねているわしに呆れた様子もなく、ただただ笑顔で。 頑なな態度を取り続けることに無意味さを感じても、どうしていいかわからない。 そのうち、頭を撫でていた楊ぜんの手が離れて、今度はきつく握られていたわしの手を掴む。
握ったり。合わせたり。包んでみたり。
楊ぜんの大きな手のひらは、心地良かった。 こんなに気持ちがいいものなのか? 大きな手のひらを、小さな手できゅっと握り返してみる。 さっきまでのイライラが、嘘のように消えている。
「・・・・・・・ゴメンナサイ」 「どうして謝るんですか?」
ああ。 手から伝わるアンシンカン。 |
よくあるじゃないですか。
母親の手を握ると安心するってやつ(笑)
お母さん的存在な王子vv(ダメじゃん)