【アタシハタチノネ。】 「あ、また僕より大人になった」 「おめでとうぐらい言わんかボケ」 午前0時ちょうど。 誰よりも先に太公望の誕生日を祝いたいと、手作りケーキとプレゼントをもって家に押し掛けて来た5歳年下の恋人は開口一番そう言った。 そんなどこか不機嫌な様子の彼に構わず、太公望はといえば日付けが変わる前から食べていた綺麗なデコレーションケーキをパクパクと口に運んでいた。 相手にされなくて寂しくなったのか、楊ぜんは気を取り直して後ろから太公望の背中に擦りよる。 「でも師叔がハタチだなんて全然見えませんよ。昔から何も変わりませんね」 「どーせわしは童顔だよ。だがこれでも結構モテるのだぞ?その証拠に今日だっていっぱいプレゼント貰ってきたからのー…っと、あ」 「…へぇー」 しまったと思ったときにはもう遅く、しかめっつらになってしまった楊ぜんに太公望は慌てる。 フォークを置いて後ろの彼のほうを向こうとしたが、肩に顔をうずめられてしまって動けない。その上楊ぜんはぐちぐちと愚痴モードに入ってしまったみたいで。 「そうですよね…師叔は大学のアイドルですしみんなと仲がいいからしょうがないですよね。…でもさっきちらっと中のぞいたらプレゼントと一緒にラブレターが入ってるの見つけたんですけど…」 「…げ」 「ハタチになって堂々とお酒もたばこも夜遊びもできるし、サークルの飲み会とか付き合いも多くなって…そうやって僕をおいてくんですねすーす……」 「楊ぜん!」 声をあげた太公望に楊ぜんは不機嫌さを隠そうともしない顔をあげた。 なんだかんだいってまだまだ子供な彼に太公望は苦笑してぽんぽんと頭を撫でてやる。 「今までわしがそうやってお主をないがしろにしたことがあるか?わしはお主のことを一番に考えてるつもりだよ」 「…すみません……もう恥ずかしいなぁ僕…」 「歳の差なんて気にする事は無い。お主だってそのうち酒もたばこも覚えるくせに…わしはお主が大人になってほうが何か寂しいのう」 再びケーキを口に運びながら太公望は複雑な表情で微笑んだ。 後ろからではよく見えなかったが、それでも楊ぜんはどこかくすぐったい思いでそれを見つめる。 「でも僕は、早く大人になりたい。あなたに並びたいんです」 「そうか?きっと実際なってみたら、ああ10代は良かったなぁ…とか思うぞきっと」 妙に実感がこもった太公望のセリフに楊ぜんは思わず笑ってしまう。 そして笑いがようやく収まった頃、やっとおめでとうと伝えたのだった。 end. |
去年、自分の誕生日を自分で祝うために書いたものです。
今年の誕生日もこれで祝います。悲しいNA!!!
小学生×高校生シリーズのちょっと時が経ったバージョン(?)の二人。