怖いんだ、怖くて怖くて、素直になれないんだ
  ――こんなにも愛してるのに――




 
言葉と真意
 


 
ここしばらくの間太公望と楊ゼンの空気が重々しかった。
でも、どちらかというと楊ゼンの方が一方的に悪くしている感じだった。
いつもは普通に話し、傍から見れば仲の良い事この上なかった、しかし
それは数日前から一変し、楊ゼンは太公望を避けるようになった。
太公望は楊ゼンに避けられると、とても辛そうに俯くだけだった……。


そんなある日、いつものように執務室で太公望は仕事をしていた。今は楊ゼンや
武王姫発、周公旦は席を外しており、部屋には太公望一人だった。そして、
ポツリと呟いた。
「やはり、あの告白がいけなかったのだろうか……。」
 と、悲しそうに。
そう太公望は数日前に楊ゼンに告白をしていたのだった。
 会ったばかりのころは、自信過剰で、ナルシストであまり良い様には
思ってなかった。
でも、果てしなく壮大な青空のような綺麗な髪と、どこか冷たく、そして
淋しそうな紫の瞳には惹かれていた……。
それで、一度別れて、もう一度あって一緒に戦って、そこで見せてくれた
本当の楊ゼン、天才なのに、どこか天然で、鈍感なとこが有って、自分に対して
向けてくれる、とても柔らかくて、優しい笑み…。
 気が付けば太公望は、楊ゼンを目で追っていた。愛しくて愛しくてたまらなかった。
まだ合って、さほど時間がたっていないのに、こんなに人を好きになる事なんてなかった。
そして、太公望は、勇気を出して告白した、しかし楊ゼンは…… 
『師叔…、申し訳御座いませんが、すぐに、お返事する事はできません…。』
『…スミマセン…』
 と、そう言い自室に帰った。
あの時は、驚いただけなのだろう、と思って、太公望もOKを出したのだ。
しかし、翌日になってみれば、楊ゼンに避けられていたのだ、
……そして今に至る。
「……、言わなければ、よかった」
太公望は、口元は笑っていたが、目は泣いているようだった――。



 

一方、楊ゼンのほうでも、溜息を出して、悩んでいた。
「僕は、どうしてあの時すぐに返事を出さなかったのだろう……、
 こんなにもあの人を、師叔の事を愛しているのに……。」
………でも、怖いんだ、裏切られそうで、だって僕は、僕は――――――。
「ハッ……いけない、仕事しなきゃ……」
言葉ではそう言いつつも、やはり先日の自分の態度に対し、自己嫌悪していた。
 その時 
――コンコン――
と、扉をノックする音がした。楊ゼンは開いている、と
返事を出すと、扉はゆっくりと開かれた…。そしてその先には、
「楊…ぜん。」
「!……師、叔」
 そう、太公望が立っていたのだ。楊ゼンは少し驚いたが、太公望を中に入れて、
そして、やはり避けるように問うた。
「師叔、何か御用でも有るのですか?」
……ピクッ……
太公望は楊ゼンの言葉に少し肩を揺らした。
「師叔?」
楊ゼンは再度問い返した。しかし太公望は何も言わず、ただ俯くだけだった。
しばらくの間、二人とも何も言わず、物音一つしなかった。
 と、その時先に声を出したのが、太公望だった。
「楊ゼン……。実は、な。お主に言いたい事があって、此処に来たのじや…」
「言いたい…事?」
 コクン、と太公望は頷いた。そして、少し息を吸い、
「あの…な、この間のこと、なのだが………、忘れて、くれ・…」
 太公望は俯いたまま、ゆっくりと言った。どこかしげ声が震えていた―。
「師叔…。どうして…ですか?」
 楊ゼンは驚き、そして問うた。
「っ!……どうしてって、迷惑なのだろう!!わしの気持ちが!……だから、だから
 わしを避けているのであろう?!!………もう…もういいのだよ、わしも、多分
 何かの迷いで言ってしまったのだろうから、本当は、好きじゃないのかもしれないし……。」
 ―――嘘―――
本当は迷いなんかじゃない、好きで好きでしょうがないの。
本当は、本当は嫌われるのが嫌なだけ……
でも、このままいって、もう普通に楊ゼンと話せなくなるのが嫌なの。
嫌なだけなの!!怖いの、もうあの笑顔を見ることが出来なくなるのが、
話せなくなるのが!楊ゼンが…楊ゼンが他の人と、笑いあってしまうのが!!!
 ――でも、言葉とは裏腹に、太公望は楊ゼンに嘘をついた。
「……わしの、我侭なのはわかっておる。この前の事なんて、わしの……わしの
 戯れに過ぎないのだから!!!」

―――バチンっ―――

「…あっ…」
 瞬間太公望の頬に痛みが走り、思わず片手で抑えながら、声が出た――。
楊ゼンは自分でも驚いていた。でも.次に太公望をしっかりと抱きしめていった。
「…っ…、そんなこと、そんなこと言わないで下さい!!師叔の気持ちが迷惑?
 そんな事無い!むしろ、嬉しくて嬉しくて仕方がなかったのに!!!」
「っ……、でわ、何故わしを、避けたのじゃ……」
「師叔…。スミマセンでした。お話ししますから、泣かないで下さい。」
「えっ」 
太公望は初めて自分が今にも泣きそうになっている事に気が付いた。
「貴方に、辛い思いをさせてしまいましたね。本当スミマセンでした。
 僕が避けていたのは、迷惑だからではないんです。…ただ……ただ怖かっただけ
 なんです―――」
楊ゼンは太公望の顔を見て言った。本人は何故?という顔をしている。
「僕は……ずっと一人でした。何をしても皆僕自身を見てくれず、
 天才というものだけで、見ていました。………だから、人々はどこか冷たく、
 そして愚かでした…。だから、いつしか僕は、人を信じなくなった。そう物心ついたときから、
 もし、好かれたとしても、それは多分、上辺だけだと思うから、どうせすぐに飽きられるかもしれないから。
 だから、僕は人が嫌いになった、自分の為だけに生きたくなった。でも…でも、
 その所為で師叔を傷つける羽目になった。本当に本当にスミマセンでした。」
楊ゼンのその話しを聞き太公望の中でずっと押しこらえていた、涙がでてきた。
「スっ師叔!」
 これにはさすがに楊ゼンもビックリしたらしい。
「っ……よう、ぜん……ごめ、御免なさぁ…い…ヒック、わし、わし……楊っ…ぜんの気持ちなんて、
 ひっく……知らずに……ひどい事、いっぱい、……言っちゃった……ヒック…ふぇ…」
太公望はついに声に出して泣いた……。
「すっ師叔;;貴方は悪くないんです、素直にお答えできなかった僕が悪いんです。
 だから、ご自分を攻めないで下さい…」
楊ゼンはしっかりと太公望を抱きしめていった。
「でもぉ……、ひっく……っ…わし、の、……わしの気持ちは、…嘘では……くっ…
 ない、からぁ………おぬしの事、っ……愛っ…してるからぁ…」
太公望は、ボロボロと泣きながら、でもハッキリとそう言った。
楊ゼンは、嬉しくてさっきより強く太公望を抱きしめて、そして本当に
幸せそうに微笑み、
「師叔、有難う御座います。今改めて言わせて下さい。」
 「楊ゼン?」
太公望は涙で濡れた目で楊ゼンを見た。
楊ゼンは太公望の頬を両手で包み、
「僕は、貴方を愛しています。愛しくて愛しくて、たまらないんです。
 今さら、貴方に酷い事いった後に、自分勝手なのはわかっています。
 本当に本当に申し訳なくて、もう遅いかもしれませんが、それでも、僕は貴方を、太公望師叔を
 愛しています。」
と、顔を歪ませて、謝罪と共に本当の気持ちを言った。
「楊ゼン……。本当に?本当にお主を信じてもよいのか?」
「えぇ。僕はこれからも例えこの先何があろうとも、永遠に貴方を愛し続けます……。」
太公望はその言葉を聞いて、とても嬉しそうに微笑んで楊ゼンに飛びついた。
「楊ゼン、楊ゼン。嬉しい。すっごく嬉しい。わしも、わしもお主をお主だけをずっと愛し続ける永遠に――。」
そして、二人の影は、自然に重なり合った。








ことの後、二人は一つの布団の中で抱きしめあいながら、話していた。
「のう、楊ゼン」
太公望は楊ゼンの綺麗な髪を触りながら言った。
楊ゼンは心地良さそうに何ですか?と言った。
「あのな、その〜、わっわしは、お主一筋だから、決してせぬが、おぬしは、モテルしカッコ良いし優しいから、
 よく告白されるかもしれん……、でも……」
「師叔?」
 楊ゼンは少し心配しながら言った。
「でも………うっ……浮気はしては、ならぬぞ(////)!!」
「………(キョトン)」
太公望は真っ赤になりながら言った。
楊ゼンは呆気にとられたように、目を大きく見開いていた。
そして暫しの沈黙…
「よっ…楊ゼン(///.)?」
反応のない楊ゼンが不思議に思いまだ少し照れながら名前を呼んだ。その時
「師叔―――――!!!」
「うわっ!」
楊ゼンはいきなり太公望に抱きついた。さすがに太公望もビックリし、慌てている。
「あぁもう!師叔!可愛すぎです!!すっごく愛しいです〜〜!!!僕が貴方以外に好きになるわけ
 ないじゃないですか。貴方は一生僕のものですvvv!!」
「っ〜〜〜〜(//////)」
太公望は嬉しさと恥ずかしさでさっきよりも真っ赤になり思わず楊ゼンの胸元に顔を埋めた。
そんな太公望が余計可愛かったらしくさっきよりも強く抱きしめた。そして太公望の顔をこちらに
向かせて、楊ゼンはキスを繰り返した
「んっ………はぁ…」 
何度も何度も角度を変え、そして長い長いキスが終わった。
「楊…ゼン(///)」
相変わらず太公望の顔は赤いままである。楊ゼンは
「師叔……、貴方も、浮気しては駄目ですよ!絶対に。」
と、わざと不機嫌そうな顔で言った。それに慌てた太公望は… 
「わっわしは浮気などせぬ;;。絶対にせぬ!」
 と、一生懸命言った。そんな太公望が可愛かったらしく、楊ゼンはクスクスと笑っていた。
太公望はむ〜っと頬を膨らませた。
「はは、すみません(笑)。……あっそうそう!」
楊ゼンは突然何かを思い出し、太公望の頬に手を添えて、急に顔から笑顔が消えた。
太公望は驚きどうした?と少し不安になりながら言った。
「師叔、その……先ほどは、頬を叩いてしまい、スミマセンでした……。あの時、ショックで、
 そして師叔がとても辛そうに嘘をついているように、見えましたから……。痛かったでしょう…。
 ホント御免なさい……。」
と、太公望の頬を撫でながら言った。
太公望は慌てて顔を左右に振って言った。
「ううん!いいんじゃ、あれは元はと言えばわしが悪かったのだし、お主を傷つけてしまったし。
 だから、お主は悪くない!」
「師叔……有難う御座います。」
楊ゼンの顔に笑みが戻った。そして
「あっそうそう!師叔!仕事はどうなさったんですか?」
と、楊ゼンは思い出していった。
驚くように楊ゼンがいうのも無理はないだろう。もう日が沈みかかっている時とはいえ、太公望は
仕事中に来たのだから…。でも太公望は何ら驚くことなく答えた。
「ああ。それか、実はな、周公旦が今日はもうよいと言ってくれたのだ、そういえばまだお主にはしかも
 言ってなかったのぅ。」
「もう…驚かさないで下さいよ;;」
楊ゼンは安堵し少し苦笑しながらいった。そして
「でわ、師叔。今宵はもう遅いですし、眠りましょうか。何ならもう一度ヤッても僕は大歓迎なんですけどねぇvvv」
楊ゼンはニヤニヤしながら少し冗談っぽくいった。
「なっ(///)。さっ3回(!?)もしたでわないか;しかも激しかったし(////)」
太公望は照れながら言った。楊ゼンはそれをみて
「嫌だったんですか?」
とわざとらしく言った。太公望は思わず一生懸命いった。  
「いっ嫌なんかではない!むしろ…大好き……(/////)」
言い終わった後に太公望はハッと気づき楊ゼンの顔を見た、
本人はニヤニヤしながら嬉しそうに笑っていた。
「でわvvもう一度しましょうかvvv」
「…っ…あ……」
楊ゼンが太公望の首筋を舐めると甘い声がした。
そして、楊ゼンは太公望の身体にキスを落として行く、首、胸、腕、太股、と
「あっ…ふぅ……」
「望……」
そうして二人はまた甘い時間を過ごした。  
  










楊ゼンは明け方目を覚まし、横で幸せそうに眠っている愛しい恋人を見て思った
(師叔、僕は、まだ貴方に隠していることがあるんです。僕は、僕は―――― 
 ―――妖怪なんです―――) 
(それでも、あなたは僕を愛していてくれるだろうか…、貴方なら、きっと大丈夫ですよね、
 初めて愛した貴方なら…。)
そして、楊ゼンも眠りに落ちた。 




  













今はまだ言えないけれど……いつか、貴方には話したい――――。



 




    














―――ずっと一人だった僕にとても大切な人ができました―――









  
 












――――ボクハモウコワクナイ、ズットアナタトトモニ――――











end

 

 

 

閨呂 廠サマより頂きました。

楊ゼンにゾッコン師叔からの告白v
プラス、素直になりきれない二人。
師叔がホントに楊ぜん一筋という感じで可愛いですv
というか楊ぜん手、早っ!(笑)
あれだけ師叔を悩ませておいて
両思いになったら即イタダイちゃうなんて素敵・・v
妖怪だという真実はまだ言い出せない王子ですが
師叔なら受け止めてくれるでしょう。
なんといっても楊ぜんにゾッコンですし、愛し合ってますからv

素敵な小説を有り難う御座いました!