とても不思議な人、でも優しい人



そんな貴方が―――









―――償いの果てに―――〔前編〕










昔々の話し、ある一つの大きな国がありました、そしてその国にはとても優しい王様と可愛らしく、王様と同じくとても優しい
お姫様が住んでいました。王と姫は国民から強く慕われ、たくさんある国の中で一番幸せな国でした――
姫も、王もこの国の民を一番に考え、不幸なものはいないようにしていました。とくに姫は民に貧しい思いをしないようにしていました。











とてもすみきった青空が広がるある日、
城では家政婦達の声が響き渡っていました、
「望様!望様!!何処に居られるのですか?望様!!」
望と呼ばれた娘はこの国の姫である、毎日のように城を抜け出しては、町の様子を見に行っているのだ、
「元始天尊様、また望が逃げ出したようですね……。」
元始天尊とよばれた長い白い髪と髭のある老人がこの国の王である、
そして先ほど話し掛けたのが、王につかえているうちの一人、太乙という男。
「まったく、望にも困ったものよ、また勉強をサボリおって;」
国の王様は深い溜息を出した、太乙は少し笑っていた。








そのころ、城を抜け出した張本人の望は、町の様子を見ては、楽しんでいた。
「うぬ!今日も皆幸せそうじゃな。わしも嬉しいのう〜」
望は幸せそうに微笑んだ。
そして、後ろから不意に話し掛けられた。
「ぼうさま、あのねこのまえお花つみにいったの!きれいでぼうさまににあいそうだからあげます!」
後ろにいたのはとても小さな女の子がいた。望は優しく微笑みそしてその女の子の頭を撫でながら言った
「ホント、とても綺麗な花じゃのう。すごく嬉しいぞ、有難う。今度わしにもその場所を教えてくれぬか?」 
 すると女の子がとても嬉しそうに頷きそして、母のいる元に帰っていった。
望はそれを見とどけ、そしてまた歩き出した。とても優しい望だからこそ、子供からお年寄りまで慕われていた。
そして、暫く歩いていると、町の外れに小さな家があった、決して綺麗な家とはいえぬ感じで、だけど、どこか不思議な感じだった。
望は驚いた、この国には差別という言葉は無く、皆が平等であり、貧乏な家は無いのだ。しかし、
そんな国なのにここにあるのは少し古びた小さな家。望はその家に近寄り、窓から中を覗いた。家の中はとても殺風景で
必要最低限のものしかなかった。そのとき,すぐ後ろから声がした
「あの、僕の家に何か用でも?」
その声はとても心地よく、低すぎもなく、高すぎもない、綺麗な声だった。
望はビックリし振り返りそして頭を下げた。
「すっすまぬ;!少し不思議な感じがしたのでつい…;;」
 望は慌てて謝罪した。
声の主はすこし驚いたように言った。
「貴方、もしかしてこの国のお姫様ですか?お姫様が民に頭を下げるなんて聞いた事無いですよ。
 顔をお上げ下さい。」
驚いた声は直ぐに笑みのものえと変わった。望は安心し顔を上げた、しかし上げた瞬間望は言葉を
無くした。
そう、声の主である青年のはとても綺麗な人であった。
すごく美しく、そしてまるで壮大な青空のような髪と、吸い込まれるような、でもどこか淋しそうな紫の瞳
そしてなにより、この世の者とは思えない美貌であった。
望は暫しその顔に見とれていた、青年は少し不思議に思い
「あの…僕の顔に何かついているのでしょうか?」
 と、聞いた。
望はハッと我に帰りそしてカーっと頬を朱に染めて俯いた。
青年は少し苦笑しながら
「ほら、また。お姫様、民に頭を下げずとも、それでは僕が困ってしまいますよ」
 と、優しく言った。
望は、まだ少し朱に染まった顔のまま、
「のう、お主いつから此処に来たのだ?わしはほぼ毎日町へは来ておるが、この前来たときは
 お主はいなかった気がするが…」
 (それに、こんなに美形ならすぐに国全体に噂が流れるはず…)
望はそんな事を考えながら青年に言った。
青年は、
「あぁ、今日来たばかりなのですよ、先程まで少し町を見に行っていたのです。」
「そうか、あっお主名前はなんていうのじゃ?わしはお主の言う通りこの国の姫だ、名は「望」という」
「あっスミマセンでした。僕の名は「楊ゼン」といいます。以後お見知りおきを…」
 青年は言った。しかしその瞳はどこかしげ淋しそうだった。
聞いてはいけなかったのか?っと望は少し不安に思った。が楊ゼンという青年はさして
気にしてなかったので、望もあまり気にしなかった。
「あっそうじゃ!お主、他国から来たとはいえ、何故そんなに貧しそうなのだ?そんなに他国は、きついのか?」
と,思い出したように、すこし心配しながらいった。しかし楊ゼンはその言葉を聞くと少し顔を曇らせた。
そして…
「えぇ。とても酷い国でした。王は己の名誉だけに心配をし、他の民の事などこれっぽっちも心配していませんでした。」
と,拳を強く握り、怒りを含んだように言いました。望はいけないことを聞いてしまったという罪悪感にみまわれた。
「すまぬ…嫌なことを聞いてしまった…。此処は大丈夫だぞ、皆良い民ばかりじゃ、お主もきっと気に入ってくれる筈じゃ」
 望は、少し悲しそうに、でも一生懸命楊ゼンを慰めようとしていた。楊ゼンは
「いいですよ…。気にしてませんから、でも望様の言う通り此処の人々は皆良い人ばかりです、皆が助け合い、活気に
 溢れていて………そう、僕の――。」
最後の言葉はよく聞こえなかった。その時望は思った。
楊ゼンは、何だか他の人とは違う、もっとよく知りたい…、と
「のう、また,此処にきてもよいか?」
「ええ。望様貴方なら大歓迎ですよ、」
 と,少し控えめな望の質問に楊ゼンは笑顔で答えた。
そして、望は城を抜け出した事を思い出し、慌てて帰った。
「楊ゼン!またな!!」
と手を振りながら。
楊ゼンは家に入りそして思った。
(不思議な人だったな…、でも可愛らしくて優しくて、あの人が僕の国に居てくれてたら―――)
そして、望の帰っていった方を愛しそうに眺めた……。



















        
NEXT

 

 

閨呂 廠サマより頂きました。

貧乏人×お姫様ですよv
しかも楊ぜんさんが貧乏人とは・・v
しかしなにやらただの貧乏人とは違うようで・・・
本当は楊ぜんは何者なのか!
出会ったばかりでお互い気になる存在に
なっているようでここのところも気になりますv

続きはNEXTをくりっく。