これは先日私がみたくだらない夢がもとになってます。
もともとのネタはパタリロから。
楊ぜんは師叔以外の男の子に手を出しちゃダメ!
って方はブラウザのバックで逃げてください。

楊太ならなんでもありという寛大な方はどうぞー↓

あ、それと楊ぜんとか天化が人間界におりる時期とか師叔との会い方とか原作とは違います。
オリジ設定なのであしからず・・・;

 

 



こんな噂をご存じだろうか。

高い高い空の上、仙人の住まう仙人界では一人の美青年がその名を馳せていた。
名を楊ぜん。

「楊ぜん様、どうでしょう?今晩わたしくの洞府で一緒にお食事でも・・・」
「いえいえ、是非ともわたくしのところに!最高級の仙桃が手に入りましたのよ」
「それでしたらうちには極上のお酒が・・・」
「折角ですけど」

その魅力に引き寄せられるように集まった仙女達に、少々すまなそうな表情を向ける。
憂いを含んだ端正な容姿は、それだけで少女たちを虜にするには充分だ。
袖口から自分の宝貝を取りだし、騎乗しながらまたすまなそうに微笑んだ。

「申し訳有りません。お誘いは嬉しいのですが、これから人間界に降りなければならないので・・・また次の機会に誘ってくださいね」

楊ぜんと目があった仙女が一気に頬を紅潮させ、慌てて俯く。
他の仙女たちも美しい微笑みに魂を奪われたかのようにぽーっとしたまま動かない。
楊ぜんはそれに微笑み、一礼してから空へと駆けていった。




楊ぜん、またの名を天才道士。
そして・・・仙界一のプレーボーイ。

類い希なるその才能と惜しまぬ努力で最強の力を手に入れた。
加えてその美貌。
世界中のいい男を全部足して2を掛けたとしても及ばない秀麗な容姿。
仙界中の若い少女たちはみんな彼に夢中だった。

がしかし。
どうも夢中なのは少女たちだけではない、というのが仙人界での有名な噂である。



美少年キラー



白い騎獣で空を駆け、長い蒼髪をなびかせ無意味に魅力を振りまく楊ぜんを、後ろから元気のいい声が呼び止めた。

「よっ!楊ぜんさん、ついに降りる気になったさね?」
「天化くん・・まあね。僕が封神計画の司祭じゃないっていうのがやっぱりちょっと不満だけど」
「そういえばその封神計画やるのって確か・・太公望とかいう道士さ?かなりずる賢くて一筋縄じゃいかないってコーチが言ってた。楊ぜんさんも気を付けるさ」
「心配してくれて有り難う」

楊ぜんの必殺スマイルに、天化は先程の少女たちと同様に頬を染めて顔を逸らした。
そう。
楊ぜんの魅力は少女達だけでなく、少年・・・とりわけ美少年たちをも虜にしていた。
天才道士、仙界一のプレーボーイときて。
この噂が新たに楊ぜんにつけた名は、美少年キラー。

天化と別れた後も、楊ぜんはイタズラに目についた美少年に視線を投げかけ、頬を赤らめる様を見て楽しんでいた。
密かな噂では、その眼力だけで相手をイかすことが出来、心の中で犯すこともできると言われている。
真相は定かではないが、あいつならやりそうだと語るのが楊ぜんの師匠である元祖美少年キラー玉鼎真人(笑)

そろそろ人間界が見えてきて、楊ぜんは小さく溜息をつく。
自分が指揮すると信じて疑わなかった封神計画を、高々数十年修行しただけにすぎない道士に持って行かれた。
その道士太公望がどんな人物か知らないが、もし計画指導者にふさわしくないと思えば、即刻自分がそのポジションにつこうと思っていた。

「哮天犬あそこに見えるお城に向かってくれ」

抵抗するなら、この眼力と長年培ってきたテクでまず身体を虜にし、順に心も懐柔すればいいと、かなりよろしくないことまで計画していた。
太公望はかなりの美少年という噂だから、かなり楽しめるだろう。
恐るべし美少年キラー。





しかしこの太公望との出会いが、今までの楊ぜんを180°変えることになる。









「ここが周城か・・・」

広い中庭の中心に楊ぜんは降り立ち、哮天犬を袖の中へとしまい込む。
いきなり現れた美青年に、女官は黄色い声をあげ、文官さえも見とれていた。
そんなことには慣れっこな楊ぜんはさして気にすることもなく、手近な人物に太公望の居場所を尋ねようとしたとき。

ドサッ!!

「!?」
「イタタタッ・・ぬぅーやっぱり木の上で昼寝はよくないのう・・・」

背後にあった大きな桃の木から誰かが落ちたらしい。
慌てて楊ぜんが背後を振り向いたと同時に、向こうも目の前に佇む蒼い青年に気が付いて視線をあげた。

瞬間、自分の中の時という時がすべて一瞬止まったかのような錯覚を覚えた。

「あ・・・・」
「む?誰じゃお主は・・・・?まさかダッキの刺客っ・・」
「ち、違いますよ!今日から封神計画に加わります玉鼎真人門下、楊ぜんと申します」
「おぉ、あの玉鼎の!噂はかねがね聞いておるぞ。お主が協力してくれるなんて頼もしいのうっ」

一体どの噂のことを言っているのか冷や汗が流れたが、そこは笑顔で取り繕う。
しかし次に発せられた言葉に、楊ぜんの笑顔はあっさりと驚きの表情に変わった。

「わしは太公望だ。一応封神計画を授かった張本人で、今は周の軍師もしておる」
「・・・!あなたが太公望・・・・師叔ですか!?」
「?そうだが?」

突然木の上から落ちてきた少年は、なんとあの太公望。
若い道士とは聞いていたが、まさかこんなにも幼い少年だったとは。
本当にこんな人に大事な計画が遂行できるのかと、楊ぜんの疑いは増していった。
手に持っていた桃に嬉しそうに囓りついている太公望を、楊ぜんは品定めするように改めて見つめる。

朱みがかった柔らかそうな髪に、うさぎを思わせるような頭巾。
それは幼い容姿にとてもよく似合っている。
厚着のせいでよく分からないが、身体はかなり華奢で細腰は無意識に周りの視線を誘っている。
大きな瞳に長い睫毛。
それは美少年というよりほとんど美少女といってもいいくらい、それくらい太公望は可愛かった。
翡翠の瞳を無意識に覗き込むと、途端に吸い込まれそうになり、楊ぜんはまた時が止まったかのような感覚に陥った。
あわてて視線を外す。

「・・・そういえば、どうして木の上なんかに?」
「昼寝じゃよ。こんないい天気の日に仕事なんてやっとれんからのう〜」
「いいんですか?仮にもあなたは周の軍師なのですよ?」

苦笑しながら楊ぜんは極上の視線を向ける。
かつてこの視線を向けられて、楊ぜんの虜にならない者はいなかった。
百戦錬磨の自分が何故かこの少年の前では調子がくるうことが悔しくて、イタズラを仕掛けたつもりだったが。

「むぅ・・・お主口うるさいのう。旦みたいだ」
「!!」

太公望にはまったく効かなかったのである。
さらりとかわされ、楊ぜんは戸惑った。
いや、正確には楊ぜんが戸惑ったのはこのことだけではない。
上目遣いで見上げられ、口をとがらせて文句をいう太公望の姿は可愛らしい以外の何物でもない。
楊ぜんの心臓は跳ね上がり、頬が赤くなっていた。

(まさかこの僕の眼力がきかないなんて・・・・・)

うるさい心臓を鎮めるように楊ぜんが呼吸を整えていると、城のほうから猛スピードで何かが突進してくるのが見えた。

「ご主人ー!!こんなところにいたッスね!周公旦さんもうカンカンっすよ!」
「ぬおスープー!ちっもう見つかったか・・・」
「ちっじゃないッス!ご主人を連れて帰らないと僕が怒られるッスー・・・・って・・・ご主人、こちらは?」

カバのような霊獣はようやく楊ぜんに気付いたようで、太公望は呆れながら紹介する。

「こやつは楊ぜん。今日からわしらの仲間になった」
「あの天才楊ぜんさんッスか!?僕は四不象っていうッス。宜しくッス」
「よろしくね四不象」
「わしはもう少し楊ぜんと話があるから、お主は先に執務室に戻っておれ」
「わかったッス。絶対来るッスよ〜!!」

ぴるるるるという効果音を残して四不象が飛び去ったあと、太公望は楊ぜんにむかってにっと笑った。

「のう楊ぜん、これからわしが城を案内してやろう。皆に紹介するのはその後にして」
「仕事のほうはいいのですか?」
「仕事なんかより新しい仲間を歓迎するほうが大事であろう?」

そしてまたにっと笑う。
絶対ただサボリたいだけだ、と楊ぜんには分かってしまったがなぜか許してしまえる自分に驚いた。
怠け癖のある性格も人の悪い笑みも、不快には感じなかった。

「お、戻ってきたのう」
「え?」

空を見上げて呟くその視線を追うと、一匹の小鳥が桃の木の枝にとまったところだった。
すると何処かに巣でもあるのか、鳥の雛たちの鳴き声が聞こえてくる。
楊ぜんはそれを優しく見守る太公望に視線をやって、それからまた巣のある場所に目を向ける。
この人が落ちてきた場所って確か・・・・

「あの師叔、もしかして巣を守るために木の上なんかに・・・?」
「む?わしはただ昼寝しておっただけだぞ」

そういえばこの辺りは鷹や鳶などが多く生息していて、無防備な小動物はすぐに餌にされてしまう。

楊ぜんの中で、太公望へのずる賢い・怠け者という印象が一気に改善された。
今まで出逢ったことのないタイプ。
楊ぜんは一気に太公望という人物に惹かれていった。

そしてこの美少年キラー楊ぜん。
気に入ったとなれば、何が何でもおとすというのがモットーである。
親鳥に懐かれて戯れている太公望に、楊ぜんは今までで最高の表情で惜しげもなく微笑んだ。

「師叔は、動物がお好きなのですね」

視線とセリフにはとびきりの甘さを含んで。
前髪を掻き上げるという悩殺的な仕草もオマケして、美少年キラーと呼ばれる力を発揮する。
しかしやっぱり。

「うむ好きじゃv」

楊ぜん撃沈。
楊ぜんの魅力なんてまったく効かず、さらさらといとも簡単に流されてしまった。
そのかわり楊ぜんが太公望の天然テンプにやられてしまう。

流石の美少年キラー楊ぜんも、天然テンプには敵わず、生まれて初めて完敗した。
溢れ出る鼻血をおさえつつ、完敗しても嫌じゃない心地よい感覚を不思議に思う。



(こんな人は初めてだ・・・・・)





僕は、出逢ってしまったんだ









つづく(・・・うわ)

 

 

先日日記で予告した美少年キラー楊ぜん。
くだらねぇ・・・・!と何回言いながら書いたことか。
全然楊太シーンなくてゴメンナサイ。
次からは楊ぜんさん師叔に猛アタック開始です。
果たして楊ぜんの眼力は師叔の天然テンプに勝つことができるのか(笑)
なんだか愛する漫画パタリロを汚した気分・・・(-
-;)