キスすき。

 

「すーす」

僕の部屋で。
目の前でおやつの桃を嬉しそうに食べてる人を呼んでみる。

「なんじゃ?」

今日はですね、僕たちの関係を一歩進めてみようかと思いまして。
こうやって一緒に桃を食べて、2人でお話するだけでも楽しいですけど、師叔。
もっとイイコトしたいと思いません?

師叔も絶対、気に入るハズ。

「キスしましょう」

「・・・きす?」

「はい。僕たち付き合ってもう3ヶ月ですし、そろそろ、ね?」

というか。ただ僕がもう限界なだけなんですけど。

あぁ・・・桃の果汁で潤った赤い唇が僕を誘ってる。
なんて思うあたり、自分でも結構ヤバイなーとか思ってるわけデスよ。

「のうのう楊ぜん」

なんだろう。OKなのかな?
とりあえず瞳だけで、次の言葉を促してみる。

「きすって何だ?」

 

 

暗転。

 

 

・・・・って、固まってる場合か天才!
師叔がコウイウコトに疎いのは今に始まったことではない。
こっち方面の教育を怠ったジジイにはムカツクが、そうならそうで別にいいけど。

だって。
僕が一から、実践付きで、優しく教えて差し上げれば済むことでしょう?♪

「楊ぜん?」

「ねえ師叔、説明するより実際にしてみたほうが早いと思いますが」

「きすとやらをすると、どうなるのだ?何かいいことあるのか?」

小首をかしげて、なんて可愛らしい質問。
さすが僕の師叔。
こんな可愛い人世界中どこ探したって、きっといないに違いない!

おっと。悦に入ってる場合じゃなくて。

「とても、気持ちいいんですv」

「何故お主はそんなこと知っておるのだ?」

ぎくっ。

無意識にしたって鋭すぎですよ、師叔;
そりゃ、経験済みだからです。ゴメンナサイ。
でもこれからは、あなたとしかしませんよ?

「兎に角キス、してみましょうよ」

「んー・・・お主がそんなに言うなら、よいよ」

「じゃあ、目瞑ってくださいv」

不思議そうにしながらも、師叔は素直に瞳を閉じる。

イタダキマス。師叔の貴重な初キッス。

やっとこの唇に触れられる。
今までと比べモノにならない程、気持ちイイんだろうな、絶対。

あなたも同じ気持ちに、なってくれるだろうか?

「ん・・」

そっと唇を重ね。
びくっとなった師叔の背中を優しく撫でて、もう一回ふわっと啄む。

「・・・気持ちイイでしょう?」

僕は言うまでもなく最高に、ヨかったデス。
師叔はどうでした?

名残惜しく唇を離して問いかけても、当の師叔は唇押さえてぼーっとしてる。
すーすー?と顔を覗き込んでも、唇なぞって何事か考え中らしい。
が、突然ぱっと師叔が顔を上げて。そして。

「よ、楊ぜん・・・気持ち・・・よかったのだ」

ちょっと困惑気味に、どこか嬉しそうに言う師叔。
僕は満足して、ニッコリと微笑む。

「お気に召しましたか?」

こくんっ。

うわ、可愛い。もう一回キスしたいかも。

「もう一回、キスする」

え。

と思う間もなく、ちゅっと師叔から可愛らしいキス。
僕が驚いて師叔を見ると恥ずかしそうに笑って。
また、キス。

その後何度も何度も、唇をくっつけ合って。
最後にちょっと長めに重ねてから温もりが離れていく。

「気持ちいいのう・・・」

僕もデス。

「のう、他のヤツとしてきてもよいか?」

・・・・・。

「ダ、ダメです!!ダメです!どうして他のヤツらなんかに師叔の唇を・・・!!」

「だって、お主とでこんなに良いのだから・・・他のヤツらの中にもっと良いのがおるかものーと思って」

いーえ!それはありえません。
僕以外にあなたを満足させられる人なんて存在しません!!

「・・・というか僕以外としても、きっと気持ちよくないですよ」

「何故じゃ?」

「師叔が僕を好きだから」

あ、何ですかその冷めた顔。傷つくなぁ。

確かめてみます?

「・・ん・・・ぁ」

精一杯の愛情を込めて。
心地よく気持ちイイなんて感じるのは、そこに2人の愛があるから。
なんて思ってるんですよ、僕。

ちゃんとわかって師叔、これだけは。

「お主も気持ちいいのか?わしだから?」

微笑んで、しっかりと頷いてみせる。

 

「・・・・・・・じゃあ、楊ぜんだけとスル」

「僕だって、師叔だけと」

「ホントか?」

 

ああ、もう。何て可愛いこと言うんですかあなた。

そんな目で見られたら。

 

このまま、もうあと2歩も3歩も進みたくなっちゃうじゃないですか。

 

 

キスも知らない初な師叔v(死)
んで、した途端ハマッちゃったみたいデス。