【恋人どうし】



(あ・・・)


よく陽のあたる暖かいソファで
寝そべって本を読んでいた人があくびをした。


暇だからと遊びに来て
だからといって何をするでもなく本を読んでまどろんで
会話もないけど暖かい午後。


師叔は優しい陽と柔らかな午後がとても好きだ。


続けてくあっと小さくあくびするのを
猫みたいで可愛いなと思って視線を読んでいた本におとす。


(昨日は夜遅かったのかな?)
(眠いなら寝てくれてもいいのに)
(ああ、でもそんな無防備になられても困るかも)


数行も進まないうちに意識はまた
あの人のもとへ。
いつのまにかほら、師叔のことを考えている。


ふっと上げた視線の先で
偶然にも同時に顔をあげた師叔と目があった。


「楊ぜん」


師叔の優しい目と柔らかな声が僕は好きだ。


「なんだお主、さっきから1ページも進んでおらんではないか」


寝てたのか?と可笑しそうに笑う師叔。
愛し始めて想い続けて僕がずっとだいすきな笑顔で笑ってくれる。
あなたのそばにいつまでもいたいな。


「あなたのことを考えていたので、読めなかったんですよ」
「たちの悪い冗談だのう」


可笑しそうに笑って
師叔は読書の続きに戻っていった。


二人は恋人どうしになれるかもしれない
あなたが僕のことを考えていてくれたらいいな。


「ねえ師叔おなかすきません?何か作りましょうか」
「すいた!」


ぱっと華が咲いたような笑顔が僕は好き。
あなたが他の誰かを考えていたって
僕は師叔と恋人どうしに


なりたいな。



愛しい心は
闇のなか。




end.




そんぐばい.つじあやの