【しあわせなれ】 「のう楊ぜん、ちょっとよいか?」 「すみません師叔今ちょっと忙しいんですよ」 師叔がおねだりモードで見上げてきた。 普段はそれに滅法弱い僕だけど、ホントに今は忙しかったのだ。 済まなそうに微笑んで謝罪したけど師叔は諦めてくれない様子。 「のうのうちょっとで良いのだ楊ぜん」 「本当に今手が離せなくて、すみません」 「楊ぜん・・・」 必殺うるうる上目遣いで見上げてきたってダメですからね! そりゃちょっとグラッときたけど今は仕事を優先させなければ今日中に終わらない。 そうなれば夜の熱いランデブーがダメになってしまうんですよ?いいんですか師叔? 僕は心を鬼にしてあえて師叔を突き放す。 「楊ぜん、のう」 「・・・・・・」 「楊ぜん?・・・楊ぜんっ」 「・・・・・・」 「・・・ようぜん」 僕の髪をつんつんひっぱりながら仕事の邪魔をする師叔。まったくしょうがない人だ。 だいたいこの仕事、あなたがさぼりまくって溜まったものなんですけど。 相手にしていたらきりがないと、僕は無視をきめこんだ。 「ようぜん・・・・・もう良い。天化のとこ行ってくる」 師叔はようやく諦めてくれて、部屋を静かに後にした。 これで集中できると筆をさらさら動かすが僕は重大ミスを犯したことに気付いてしまった。 天化くんのところに行ってくるって・・・・・・ 「師叔・・・!!」 あんなに執着していた仕事も放り投げ、慌てて部屋を飛び出した。 僕以外のだれかのところに行って、同じように名前を呼ぶ? そんなこと、一番許せないのは他でもない僕だったのに。 廊下の角を曲がったところに師叔がいた。 名前を呼んで思いっきり抱きしめてキスをする。 当たり前のことに慣れすぎていたみたいです。 「ようぜん」 僕の大好きな笑顔で名前をよんでくれる、幸せに慣れないようにね。 おまけ 楊「ところで一体なんのご用だったのですか?」 太「いや、カツとフライってどう違うのかなぁーっと思って・・・」 楊「・・・・・・・・」 end. |
日常大好き。