【日曜にshalala】


眩しいほど素晴らしい日曜日


「楊ぜん〜そっち持ってくれそっち」
「あっ重いものは僕が運びますから望はそっちをお願いします」


ふらふらと抱えていた大きなダンボール箱をひょいっと奪いとると、望は笑って、小さな箱を運ぶ作業に移って行った。
荷物もだんだん片付いてきてゆっくりやっても昼にはこの引越し作業も終わりそうだ。


「ふー。これで全部かな?」


最後の一つとなったダンボール箱を中に運び込み、一息つく。
ああ、念願のマイホーム。
街からは少しはなれた静かな場所で、誰にも邪魔されず僕達の愛を育むにはもってこい。
広くはないけど二人ですごすには充分な部屋を満足げにぐるっと見渡す。
今まではうるさいジジイや養父に反対されていたけれど、今日からやっと愛する人と一つ屋根のしたで暮らしだすことができるのだ。

その愛する人はというと、大量の本を棚にしまおうと奮闘中。
高いところに手が届かないようで、頑張って背伸びしている後ろ姿が凄く可愛い。
僕は背後からそっと近づき、望の手からすっと本を取って軽々と一番上の棚にしまいこんだ。


「望、届かないなら僕に言ってくださいね。この家にはあなた一人じゃないんですから」
「むーわしだってもっと背があったらこれくらい・・・」
「望はこのちっちゃいままでいいんです。可愛くて好きですよ」
「むー・・・・・」


拗ねたように照れたように唇を尖らせて見上げてくる望は世界で一番可愛らしいに違いない。
あなた一人じゃないんだから。そんな可愛い顔見せられたら抑えが効かなくなっちゃいます。
そう耳元で囁けば、初心な彼女は顔を真っ赤に染めて俯いてしまった。
こんな甘いやりとりも可愛い望の表情も僕だけのものだと思うと幸せでたまらなかった。


「のう楊ぜん、おなかすかんか?何食べたい?」
「僕が作りますよ。お疲れでしょう?望は休んで・・」
「だめだ!こういうのは最初が肝心なのだ。お主に甘えてばかりでは、わし女らしいこと何も出来んくなる・・・」
「僕はもっともっとあなたに甘えて欲しいんですけどねぇ」
「だって二人で暮らすのだろう?わしだっておぬしに甘えてほしいぞ///」
「望・・・・」


恥ずかしげな望にふわっと微笑むと、額に小さなキスをおくる。
嬉しそうに笑ってくれた彼女は、それからぱたぱたとキッチンに駆けていった。
きっと僕って今一番幸せな男なんだろうなぁ・・・
幸福をかみしめつつ、望が作ってくれる食事のために汚れた手を洗おうと洗面所に向かった。
そこにはまた僕を幸せにするものが。


洗面台の端に小さなコップに立てられた2本のハブラシ。
寄り添う色違いのそれに、今更ながらにここは僕たち二人の家だと実感して。頬が緩んでいくのを止められなかった。


僕らの幸せな新生活がスタートする。




end.




続くはずだったんだけどな〜・・・