昨日、楊ぜんに告白された。

いきなりだったからすごくビックリしたけど、でも、すごく嬉しかった。

だってわしも同じ思いだったから。

 


だから自分も告げた。好きだ、と。

 

 

 

++はじらいピーチ++

 

 

 

 

執務室。

いつもそこには、結構人が集まっているのだが今日はまだ、一人がそこにいるだけだった。

その一人の人も、別に仕事をしているわけではない。う〜んう〜ん、と頭をかかえて唸っていた。

 

太公望である。

 

 

 

 

昨日、楊ぜんに好きだと言われた。だから自分も好きだと告げた。

 

ということは、今日から二人は晴れて恋人同士というわけで・・・・・。

(ぎゃ〜!恥ずかしい!!!!)

 

頭をかかえていた手でバシバシッと机を叩く。

どうも自分は、こういう色恋沙汰に疎いらしい。この歳で、楊ぜんが・・その・・初恋だし、

好きだと言われたのも初めてだし、だから、恋人同士というものになるのも当然初めてだ。

(いったい、今日あやつに会ったらどうゆう顔をすればいいのだ!?

恋人同士になったら何をするのだ!?あ〜わしはどうすればいいのだ〜!!)

 

 

何からなにまで初めてで、いつもは聡明な軍師様もお手上げなご様子。


こ、恋人なのだから手・・・とかつないだりするのかのう?休みの日はデートとかしたり!?ぬう〜恥ずかしい〜!

などと、なんとも可愛らしいことを考えている。

 

「・・・・・はあ・・どうしたものか・・」

「何がですか?」

 

 

自分以外は誰もいないはずの部屋でいきなり話しかけられ、驚いて声のしたほうを振り返る。

でも太公望には、それが誰なのかなんて声でわかっていた。きっと自分が今までずっと考えていた相手。

「な・・!楊ぜん!?何時の間にはいってきたのだ!?」

「結構前ですよ。師叔が机を叩いてた頃からかな・・・・あなた、呼んでも気付かないんですから」

考え事でもしてたんですか?と言いながら楊ぜんはクスっと笑う。

太公望は、あんな自分が悩んでるみっともない姿を見られていたことが死ぬほど恥ずかしくて、

顔を真っ赤に染め上げながらも、笑った顔もキレイじゃの・・・なんて素直に思ってみたりしている。

「そうだ師叔。差し入れに桃をもってきたんですけど、食べますか?」

「桃!?食べる食べる!気がきくのう・・・・楊ぜんありがとう」

そう言って嬉しそうにふわっと微笑む。その笑顔のこれ以上ないというような愛らしさに、

楊ぜんは思わず眩暈をおこしそうになっていた。

 

(か・・・・かわいすぎます師叔・・・・・・)

 

 

太公望はというと、さっきの出来事や悩んでいた事なんかすべて忘れたように、さっそく桃にかぶりついている。

 

 

ただ桃を食べている姿を見ているだけなのに、それがやっと手に入れることができた自分の恋人

だと言うだけでどうしてこんなに愛しいんだろう?

そんな幸せすぎる疑問を心に浮かべながら、楊ぜんはまたクスっと笑った。

「ぬ?よーぜん、お主は食べぬのか?お主が持ってきた桃じゃぞ」

「僕はいいです。その桃はあなたのために持ってきたんですからねv」

「そ・・・・・そうか・・もったいないのう!こんなにうまいものをいらんとは・・・」

ふいっと、太公望は横をむいてしまう。そうしたことで小さな耳が赤く染まっているのが見え、自分が

すごく照れていることを楊ぜんに知らせてしまった。


(む〜こやつ、なんて嬉しい・・・・いやいや恥ずかしいことを・・・。)

だいたいどうして楊ぜんは平気なのだろう?今はもしかしなくとも二人きり、であるのに。

やっぱり楊ぜんは、こうゆうことには慣れているのだろうか・・・・

 

なんだかあたふたしてるのがわしだけなんて悔しいのう。

そう思いながら二つ目の桃をかぷり。

「あっ。師叔、口元に桃ついてますよ?」

「え?」

「そっちじゃなくて・・・・」

楊ぜんは楽しそうに微笑んで、太公望がとろうとしている反対のほうの口元に

その長い指をもっていきついていた桃をすくって、そのまま自分の口にはこんだ。

とたん、かあっと赤くなる太公望が愛しくて愛しくてたまらない。

その思いのままに愛しい恋人へ口づけようと、楊ぜんはだんだんと顔を近づけていった。

「師叔・・・・・」

 

びくっ!!


甘く囁かれ、反射的に身をすくめてしまう。

 

太公望にしてみればそれは当たり前の反応。

自分はまだ、手をつないだり二人きりでいることさえも恥ずかしいのに

・・・・・楊ぜんが今しようとしていることはきっとまた、自分にとっては初めてのことだろう・・・・・・・。

 


キスなんてまだまだ先だと思っていたのに。

 

 

 

 

固まったまま動かない太公望に苦笑しつつ、楊ぜんは優しく問いかけた。

「嫌ですか?」

「そっ、そんなことはない!!」

そう。嫌ではない。いずれは楊ぜんとこうしたい・・・・という期待も持っていたくらいだ。・・・・ただ

 

「ただ・・・・恥ずかしくて・・・・。」

初めてだから・・。と言う太公望のあまりの可愛さに、楊ぜんはうっとりと笑み

その両腕でぎゅっと、それでも優しく愛しい人を抱きしめた。

「かわいい師叔・・・。大丈夫、馴れていけばいいんです。僕たちはまだこれからなんですから・・・・」

太公望の耳元に囁いて、少し身体を離し視線をあわせる。

いいですか?

と瞳で尋ねたら、一瞬キレイな碧の宝石は揺らいだけれど、ゆっくりとそれを覆ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

重なる唇。

 

 

初めてのキスは桃の味がした。

 

 

 

 

 

「はやく馴れるように、これからもいっぱいしましょうねVv」

そして優しい唇は、今度は額にふってきた。

 

うん。と言うのはまだまだ恥ずかしかったから。

彼の広い背中に腕をまわし、自分からぎゅっと抱きしめることで返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

+END+

 

 

 

あとがき

恥ずかしいのはこっちのほうだーーーー!!(自爆)
なんかかなりスースが乙女モードにはいっててすみません;
なんだこりゃと思いながら読んでください。(おい)
私は恥じらう師叔がかわいくて好きなんですVvこの話のスースは・・・・・・(- -;)
はあ・・・・。初々しいっていいですよね・・・・?(現実逃避)

 

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