++クローバー++
ある晴れた春の日。 太公望は城の近くにある川沿いの道を一人ムカムカとしながら歩いていた。
今日楊ぜんとケンカした。 でもわしは悪くないぞ!!明らかにあやつのほうに非がある! なのに何故か今日はいつにも増して怒っておったのだ。まったくなんだとゆうのだ!! 「わしは悪くないぞー!」 声にだして言って、そう自分に納得させる。 自分は悪くないはずなのに普段は優しい恋人の怒りようを思うと、なんだか こっちがケンカの原因をつくったような気になってくる。 「わしは悪くない・・・・・悪くは・・・・・」 ない。・・・・だけど仲直りは早くしたい。怒ったあやつの顔はあまり好きではないのだ。 笑った顔がみたい。いつもの優しい彼にもどって欲しい。
さっきまで怒りに燃えていたハズの太公望は、そう考えたとたんに悲しい気持ちでいっぱいになった。 今城に帰ってもきっと楊ぜんは怒ったまま。口もきいてくれないかもしれない。 仲直りするまでずっとそのままだろう。 「・・・・だけどこっちからあやまるのは・・・・・・やだ」
まったく素直じゃない。・・・・・だけどそれが太公望なのだ。 どうしたものかの〜・・・と呟いて一歩進んだとき、 太公望は道の先にみどりの何かがいっぱい咲いているのを見つけた。 「・・・・?クローバー?」
言って、クローバーの咲いているところへ近づく。 しばらくはそれをなんとなく眺めていただけだったが、太公望はふっとあることを思い出した。 (そういえば・・・クローバー♪君のために僕のために願いかなえて〜という歌があったのう。 四つ葉をもっていると幸せになれるというのはきいたことあるが、願いもかなえてくれるのか・・・) だったら願いを叶えてくれるのも四つ葉かの? そう考えた太公望はその幸せなクローバーを探しはじめた。
「だーーーーーーーー!!!ない!ないない〜!!四つ葉とはこんなに見つからんもんなのか〜〜!?」 これではわしの願いがかなえられんではないか! 探しはじめてもう少しで1時間。太公望はたくさんある三つ葉の中で、 未だに目的のモノを見つけだすことはできていなかった。
(・・・・・・・・・・楊ぜん・・・・・)
太公望の願い。それは楊ぜんと仲直りすること。 素直にあやまってしまえばすむことなのだが、まだ自分は絶対悪くないと思っている 意地っ張りな彼にそんなことはできるはずもなく・・・。 だけど。 さすがの太公望もそろそろ限界のようだ。
もう素直になってあやまってしまおうか? ・・・・でもそれでも許してくれなかったら? 仲直りしたい。 はやく いつもみたいに抱きしめてほしい。 願いをかなえてほしいのに・・・・・・・・・・・。
「ダアホ・・・・・なぜないんじゃー!」 いらいらとした気分にまかせ、たくさんのクローバーをいっきに掴み引っこ抜いた。 そして力無くうつむいて、小さく呟く。 「もう・・・・・・・・・・・・泣くぞ・・・・」 目の前が涙で曇り その一滴が零れ落ちそうになったとき
「泣かないでください・・・・」
聞きたくてしょうがなかった優しい囁きとともに、太公望は後ろからふわりと大きな両腕に包み込まれた。 「な・・!?楊・・・・?」 「すみません太公望師叔。今日は全部僕のほうが悪かったです。ごめんなさい。どうか許して・・・」 「っ・・・・まったくだ!・・・・・・わしがどんな思いでいたと・・・・・・・」 太公望の頬を涙がつたう。その瞳にはまだ、今にも零れ落ちそうな滴が溜まっていて。 楊ぜんは太公望を自分のほうに向かせ、さらにきつくその幼い身体を抱きしめた。 「泣かないで・・・。ごめんなさい師叔、ごめんなさい・・・」 謝罪の言葉とともに、愛しい恋人の顔中にキスをおくる。 最初は額。それから頬。涙が零れる瞳。 そして最後にその唇へ。
楊ぜんの優しい優しい口づけに、いつの間にか太公望の涙はとまっていた。 「・・・・・しょうがないのう・・・・。許してやる」 「ありがとうございます!・・・・・・・・そういえば師叔。さっきから何持ってるんですか?」 太公望の手にぎゅっとにぎられているものを見て楊ぜんは問いかけた。
「あ・・これはの・・・・・・・・あああ!!」 「!?」 いきなり大きな声をあげた恋人に驚く楊ぜん。 太公望は問いかけられて、視線をむけた自分の握りしめている三つ葉の中に 今まで探しもとめていたものを見つけたのだ。
「・・・・もしかしてホントに願いをかなえてくれた?」 「??」 「のう、楊ぜん。仲直りできたのはこれのおかげかもしれんのう?」 そう言って四つ葉を見せながら幸せそうに微笑む。 楊ぜんはというと、意味が分からないといったように?マークを浮かべて首をかしげている。 そんな彼にクスっと微笑み 今度は自分から愛しい恋人を抱きしめた。
クローバー。 願いをかなえてくれて
+END+
あとがき いつものことながら意味不明な文でごめんなさい。←(反省しろ!) これは、ちょっと・・・というかかなり つじあやのさんの曲を意識して書いてました。歌詞もだしちゃったし。 |