パソの快適環境を守るため日夜戦い続ける正義の味方!





戦え!ウイルスバスター2003





「ふいー。今日も全ドライブ異常なしっと」


わしはウイルスバスター太公望2003。

パソコンを憎っくきウイルスや不正プログラムから守るソフトウェアじゃ。
わしは休むことなく毎日リアルタイム検索を実行して働いておる。
だが今日はもうパソコンの電源が落とされたから仕事はおしまい。
明日も頑張って主人のパソコンを守らねばのう!

わしの主人の楊ぜんは、わしに太公望と名前をつけてくれた。
ただのパソコンソフトに名前をつけるなんてちょっと変だとは思うが、わしは嬉しい。
楊ぜんは基本的にはしっかりしておるのだが、ちょっとボケっとしたところがあるからのう。
今はまだ大丈夫だがいつ悪質なウイルスを拾ってくるかわかったもんじゃない。
だから楊ぜんにはわしがついててやらないとだめなのだ。


「楊ぜんはわしが守ーる・・・・ん・・むぅ・・」


寝言でも主人のこととは。わしって優秀なソフトだのうv




「む・・?ぬぉ!?パソコンが起動しておる!」


次の日、わしとしたことが寝過ごしてしまった。
いつまでたっても起動しないわしに不安そうな顔で楊ぜんが画面を見ておる。
あわあわと仕度して通常どおり起動すると、ほっとした楊ぜんはわしのアイコンをクリックした。
む?なんじゃ?起動して早々・・・異常はないから手動検索の必要はないぞ?
でも一番にわしを開いてくれて嬉しいのう。
いつも楊ぜんの一番はメールソフトなのだ。
あそこにウイルス検索に行くたびに、あのメールソフトは得意げな顔で笑いおるのだ!
ふふっ悔しかろう。今日はわしが一番じゃ!

・・・・ぬ?ああ、アップデートするのか。
最近してなかったからのう。
流石のわしも情報不足ではお主の役にはたてぬからの。
ちなみにアップデートとは、簡単に言えば新しいウイルスの情報を仕入れる作業のことだ。
楊ぜんがアップデートのボタンをクリックしてから間もなく情報が入ってくる。
どれどれ・・・凝りもせずまた新しいウイルスが増えておるのう・・。


「・・・?you-zen・・・?」


危険度:高の超危険ウイルスのようだ。
それだけでも嫌なのに、よりにもよって楊ぜんと同じ名前だというのが気に食わぬ。
ムカムカしながらその詳細をくわしくチェック。
サイトを見ただけで感染するウイルスか・・・絶対うちのパソコンには入れてやらぬからな!
情報さえあればこっちのものだ。楊ぜんはわしが守るのだ。

アップデートが終わって、今度は楊ぜんはインターネットを始めだした。
今日も犬のHPを廻るのかのう。
まあ何にしてもネット中は気を張っておかねば。ウイルスはいつどこで待ち構えておるのかわからんのだ。


「え・・・?」


楊ぜんが何かがダウンロードされている画面をみて小さく声をあげた。
それは紛れも無くコンピュータウイルス。


「・・何・・・!?わしのセキュリティを掻い潜るとは何てウイルスじゃ・・!」


折角アップデートしたのにちゃんと監視してたのになんてことじゃ!
や、役立たずと思われたかのう・・・・?
わしは全力でウイルスを探し、全ての力でもって駆除を行う。
しかし敵も然るもので粘って感染ファイルを増やしていく。
そして、楊ぜんが今度の仕事で使わなければならない大事なファイルにウイルスの魔の手が伸びた時わしはとうとうブチ切れた。


「やめんかこのボケーーー!!!」


太極図最大威力!
それには指1本触れさせはせんぞ!
そして数分の攻防の後、大事なファイルに感染される前にウイルスを隔離することに成功した。
駆除はできんかった・・・・むぅ・・。
そういえばなんのウイルスだったかのう。画面には表示したが自分は必死だったから覚えてない。
後で見に行ってみるか・・とつらつら考えていると楊ぜんに話し掛けられた。


「望、ご苦労様です。やっぱりすごいなぁ」


よ、楊ぜんに褒められた・・・・・(照)




「どれどれ今日捕まえたウイルスはーっと・・・」


楊ぜんがワードに構いだして暇になったから、わしは今日隔離したウイルスを見に行った。
感染ファイル6個か・・・・まぁ少ないほうか?
でもこのわしがウイルスの侵入を許してしまうとは。
一体どんな奴なのだ、このわしの上をいくウイルスなんて・・・


「にゅっ・・!」
「あ、大丈夫ですか?」


考え事をしていたため前が見えていなかったらしい。
正面から誰かにぶつかって、軽い身体だから倒れるかと思ったが強い腕に抱きとめられていた。
・・・・・って、おい。ここにいるわし以外のものといったら・・・・!
慌ててわしは抱きとめられている腕を振り解き、相手を睨みつける。
と同時に不覚にも大きく目を見開くくらいビックリした。


「・・・・な!?お主もしかして・・・!」
「僕のこと知っててくれたんですか?嬉しいなぁ・・・初めまして、you-zenです」


にっこり笑って握手なんてもとめてくるウイルスyou-zenは、なんと名前だけでなく外見も楊ぜんそっくりの美形だった。
驚いて固まってしまったわしを、you-zenは楽しそうに笑って抱きしめてきた。
わしがそれに気付いたのはあと数ミリで唇と唇が触れ合うかという間際。


「な・・!?なっななななな、何・・・!?」
「可愛いですねあなた。こんなことで真っ赤になっちゃうなんて・・」
「何するのだ!!」


思いっきり距離をとって睨みつけるが、相手は気にした風もなくじりじりと近づいてくる。
何なのだ何なのだこのウイルスは!
ここはわしのテリトリーなのに、この威圧感。
なんだか怖くて太極図を持つ手が震えてしまっている。
そして壁際まで追い詰められて、間近で覗き込まれてとっさに目をぎゅっと瞑った。
しばらくそうして、けれど何も起こらないからそーっと目をあけるとドアップで楊ぜんそっくりの綺麗な顔を見てしまった。


「僕は、あなたに一目惚れしてしまったみたいです」
「・・・冗談いうな・・!早くどけっ」
「信じてくださらないのですか?こうやって無理やりにでも侵入してきたというのに・・・」
「そのせいで!わしが役立たずと思われて楊ぜんに見限られたらお主のせいだからな!」


でも楊ぜんがわしにそんな酷い事するはずないがのぅ・・・とぼそぼそ付け加えると、you-zenが俯いた。
?と思って首を傾げるとボソッと何かを呟いたようだった。


「気に入りませんねその楊ぜんというの・・・・・あなたはもう僕のものというのを見せ付けてやりましょう」
「は・・・?ぬおっ!?」


わしには理解不能のセリフを言ってにっこり微笑んだ後、いきなりyou-zenが押し倒してきた。
逃げられないように両手を床に縫いとめられ足を割り開かれる。
そしてわしの知らない何かのボタンを押したかと思うと、服に手を掛けられた。


「やっ・・!やめんかダアホっお主なんて削除してやる!!」
「構いませんよ?僕の分身はまだ世界中にいるんですからいくらでも感染できますし。あなたは僕には敵わないみたいだしv」
「・・・!!!」


き、危険度:高!まぎれもなくこやつは危険度:高じゃ・・・!
そしてもう一度にっこり笑ったyou-zenは、わしの身体を撫で始めた。




その頃。

「・・・ぼ、望・・・?」


パソの外で画面に見入っている楊ぜん。
さっきyou-zenが押したのはパソコンソフトの実体化機能発動のボタンだったらしい(you-zenが即興でつくった)
パソコンの中で人型になったわしとyou-zenが絡み合っているシーンがリアルタイムで映し出されていた。
そんな場面を楊ぜんに見られたなんて、わしはもうお婿にいけぬ〜!!



結局途中で、たまたま遊びに来たポスペの普賢に助けてもらって未遂に終わったが。
この日から妙な共生がスタートしてしまったようで、隣でにこにことわしの髪を梳いているウイルスを見てがっくりする。




楊ぜん・・・お主はわしが守るから、お主がわしを守ってくれ・・・!











おわり。

 

 

ウイルスバスター師叔。(・・・)
何かよくわからんものを書いてしまいました。
この話の師叔の相手はウイルスyou-zenなのかご主人楊ぜんなのか。
どちらにしてもいろいろと無理があるんですけど、お、お気になさらず(汗)
楊ぜん大好き師叔が最近好きみたいです。むしろ乙女・・・v
この話、まだ続くかもしれない予感がします。
そのときはどうか宜しくお願いします〜。