もう何も考えられぬ・・・・
わるい子になりたい 2
「Hしよっ」
「は?」
「えっち!」
放課後の学校。
もう全ての扉は施錠され、18時をまわれば生徒はみんな下校しなければならない。
しかし、太公望は保健室にいた。
楊ぜんに連れられて何があるのかと思えば。
薬品棚の一番下の戸棚から出てきたのは、太公望が好みそうなたくさんのお菓子だった。
授業のない空いた時間などによく、保健医である太乙と暇を潰すときの茶菓子。
テストもあり、最近お互い忙しくて逢えない日が続いていたが、今日からやっと時間がとれるようになった。
明日からゆっくり逢えばいいのだが、待ちきれない楊ぜんは太公望を放課後の保健室デートに誘ったのだ。
保健室の主である太乙は半強制的に帰らせ、今はもういない。
つまり2人きりで。
そして2人はベットの上。
先日のこと(「わるい子になりたい」参照)で勢いのついた楊ぜんは、このまま雪崩れ込めたらいいなぁとか不埒なことを思いながら、嬉しそうにお菓子を食べる恋人を眺めていた。
お菓子を片手に、おいしいからお主も食べてみろとか、今日はちょっと遅刻してしまったとか話す太公望の笑った顔が可愛くて。
楊ぜんはそれに相打ちをうちながら、太公望との久方ぶりのデートを楽しんでいた。
だけのハズ、だった。けど。
胸に擦り寄ってくる太公望にドキドキしつつ、楊ぜんは必死に状況の理解を試みる。
が、太公望のあまりの直接的な言葉に混乱して鼓動だけが早くなるばかりで。
「あ、あの・・・師叔?」
「せんせいはしたくないのか?わしとえっちしたくない?」
「そ・・・そうじゃないですけど・・・・」
自分を『せんせい』と、普段では絶対太公望の口から出ない単語にちょっと感動。
してる間もなく、大胆にもシャツのボタンを外し始めた太公望を、楊ぜんは慌てて止める。
その時、指先で何かがカサッと音をたてた。
「・・・・・・・・・・・そうだよな。わしなんか貧相で子供で・・・・抱いたって全然よくないし・・」
「そんな!違いますよ!!」
「じゃあ、しよ?」
「・・・・・・!」
だめだ・・・。
これは・・・・・・・・・・完璧に、酔っている。
指先に触れているものをクシャっと握り、目の前の、太公望の熱っぽい視線に耐える。
楊ぜんの握っているモノは。
それはウィスキーボンボンを包んでいたであろう、銀の包み紙だった。
たったそれだけのアルコールで。
太公望は酔っぱらいになってしまったのだ。
(可愛い・・・・)
ウィスキーボンボン一つで、こんな積極的になってしまうなんて。
今更ながら楊ぜんは、たまらなく太公望が可愛いくて、しょうがなくなっていた。
ちょっと視線を落とせば太公望の中途半端にはだけたシャツの間から、可愛いピンクの突起が覗いている。
愛しさと視界からくるいやらしさで、楊ぜんの身体は準備万端の状態になってしまった。
ほんのちょっと上目遣いで。頬をピンクに染めて。
濡れた瞳で見つめられれば、落ちないハズがない。
「えっちなこと・・・して?」
言葉に似合わぬ花が綻ぶような笑顔をみせ、太公望は楊ぜんのベルトを外し始める。
もはや止める気も、抵抗の言葉さえなくて。
「してあげますよ・・・・たっぷりと、ね」
小さな手がファスナーを下げきるのと同時に、太公望は勢いよくベットに沈み込んだ。
つづく
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